※東芝機のCPU換装はBIOSの書き換えを伴うので非常に危険です。
自己責任で載せ替えを行う覚悟がない方はCPU換装は諦めた方が良いと思います。
最悪、PCが起動しなくなる可能性があることを認識して作業をして下さい。
Cシリーズでも廉価版のCeleron、PenIII-M搭載機ではこのツールは使用出来ません。
ツールの準備は整って後はCPUを待つのみの状態でした。
安く買ったノートに高額なお金を掛けるのは馬鹿らしいので5000円以下でPentiumM 735(1.7G)を探していました。
中古でも中々5000円以下では手に入り難いのが現状です。
ヤフオクにバルク未使用品が7000円であったので新品ならと思い購入してみました。
※PentiumMはクロック比でP4の約1.5~1.7倍の性能と言われていますので
P4-1.95GからP4-2.55Gへの換装という感じになると思います。
CPUの二次キャッシュも1Mから2Mへ増えるのでアプリによってはもっと早くなるかも?
SSE系の拡張命令ではP4は優秀なのでエンコードなどは早いです。
まず始めにC4110(C8、C4120、C9)のBIOSとCPUの関係について書きます。
これらの機種は東芝独自のBIOSを使用しています。
ですので単純にCPUを載せ替えるだけでは起動する可能性は高いですが
正しいクロックで動かないと考えた方が良いと思います。
実際にCPU換装だけを行ってクロックを確認すると598MHzなどで動いているのが分かります。
これはあくまでも推測ですがPentiumMはspeed step対応なので
CPUの型式が正しく認識できない場合は省電力モードなどで使われる最低クロックで動作しているのではないかと思います。
またOS起動後にCPUの電圧や倍率が変更出来るツールを使って
規定の倍率に設定しても規定のクロックで動作させる事は不可能でした。
次のツールを利用してCPU情報の書き換えを行います。
pom200t1-V1.5.zip
ディスクイメージファイル pom200t150.IMA
※このツールは本来Cシリーズのものではありません。
国外で発売されているM200用のツールなのですが
DMI情報の書き換え部分は汎用的に使えるようでこの部分を使用しています。
Cシリーズでも廉価版のCeleron、PenIII-Mではこのツールは使用出来ません。
元々Cシリーズ用のツールでありませんし多機種でも使える機種はあるようです。
以下の同世代PentiumM搭載機で書き換えが出来た報告はあるようです。
(dynabook SS M200(Portege M200)、Satellite M15、Satellite M30、Tecra M2、dynabook R10、dynabook V9)
CPUファンを取り外す部分までの分解手順が以下のサイトにあります。
(CPU自体の取り外しは掲載されていませんが換装を考える方であれば経験があるでしょう)
分解手順
ツールの使用方法
pom200t1-V1.5.zipとpom200t150.IMAをDLしてください。
pom200t1-V1.5.zipを解凍するとpom200t1 V1.5.exeが取り出されるので
FDDにフロッピーディスクを入れてpom200t1 V1.5.exeを実行します。
実行が終了すると起動可能なFDが作成されるのでこれを利用してノートをブートします。
最初にメニューが表示されますので「2.Repair initial config set」を選択してください。
次にサブメニューが表示されるので「1.Initial configuration」を選択して実行します。
すると自動的にBIOSの情報が更新されていきます。
ちなみにこの書き換え作業はBIOS全体をアップデートするのではなく
特定の情報のみリペアしていく感じなので失敗してもBIOS自体は起動可能かもしれません。
但しBIOS情報を書き換えてる事に間違いは無いので最悪起動しなくなる可能性は拭えません。
書き換えが終われば自動再起動で載せ替えたCPUが正しく認識されていると思います。
※私は上の方法で書き換えを行いましたがCPU情報以外の項目も書き換わる可能性があるので下記の方法が望ましいようです。(未検証ですのでダメだった場合は上記の方法で)
C4110でメニューから実行しても特に起動しなくなることはありませんでしたが下記の方法より危険性は大きくなります。
作成した起動可能なFDには色々なツールが入っていてメニューから実行すると複数のツールが実行されます。
CPU換装ではCPU情報のみ書き換えれば良いのでピンポイントで書き換えツールを実行します。
まずは自動でメニューが起動しないようにFD内にあるautoexec.batを削除します。
FDを入れてPCをFDから起動しても最初のメニューは表示されますのでShift+F5を押してDOSプロンプトにします。
Dothan用のCPU情報に書き換えるツールはSETTBL_D.BATになりますので
プロンプト上でSETTBL_D.BATを実行します。
処理が終われば再起動で無事CPUが正しく認識されているはずです。
実際にCPUを載せ替えた場合はCPU載せ替え後にこのツールを実行する必要があります。
また再起動後にSpeedStepがフルパワーやオートで動いてなくて600MHz固定で表示されている場合があります。
その場合は東芝省電力ユーティリティーにて設定をフルパワー(CPU設定の速度を8)やオートにしてください。
CPUが正しく認識されていれば規定のクロックで動作するようになります。
CPU情報の書き換えの仕組み(推測)
私自身、最初に実行するまではこのツールの仕組みがよく分かっていませんでした。
BIOS上のCPU情報の項目を最新のCPUに対応出来るように追記して行くのかと思っていましたが
表示されるログを見ているとどうもそうではないようです。
現在載っているCPUから該当するCPU情報のチェックをし情報を書き込んでいる感じです。
ですので更に高クロックのCPUに載せ替えたり、元のCPUに戻した場合は
再度この手順を実行する必要があるのではないかと思います。
※CPU選定時の注意事項
CPU情報の更新用情報ファイルには全てのPentiumMの情報が存在するわけではありません。
ES品(エンジニアサンプル)やFSB533のものは含まれていませんし低電圧版も2種類しか含まれていません。
また型番の末尾に「A」がつく735Aなども含まれていません。
735Aの載せ替え報告は他機種では存在していますし735A用の更新用情報ファイルも持っています。
しかし735Aも数種類あるようで私が持っているのは735A(SL7BA)用でSL8BAだと動かないようです。
従って735Aは載せ替えのCPU候補からは出来るだけ外した方が良いと思います。
もちろん自身でCPU情報を作成出来る方はこの限りではありません。
Dothanに書き換えた後でBaniasに戻す場合
CPUの情報をBaniasに戻す必要があります。
方法はDothanにする場合とほぼ同じで実行するファイルが違う程度です。
実行するファイルはSETTBL_B.BATとなります。
PentiumM735A(SL7BA)、PentiumM765に書き換える方法
未検証なので確認は一切取れていません。
圧縮ファイルを解凍して名前をCPINFT_D.BINにしてFD内のファイルと置き換えてください。
735A用
※735用ではありません!735A(SL7BA)用です。SL8BAでは正しく動きません。
765用
CPU換装後のCPU温度
SuperPaiで連続的にCPU使用率を100%にしてCPUの温度を測ってみました。
最高で72℃まで上がりました。
これはオーバークロック時のCPU温度とほぼ同じです。
(当然ながら外気温度で上下しますが)
BaniasからDothanになって製造プロセスは下がっていますがトランジスタ数の増加で消費電力や発熱はBaniasとほぼ変わらないのではないでしょうか。
Baniasよりも省電力になるのでは?と期待していただけに少し残念でした。
SpeedStepを利用してクロックを自動にすると通常時600MHzで動きますので温度も52℃程度まで下がります。
高負荷時も70℃までしか上がりませんがクロックが落とされることも殆どありませんでした。
高負荷時はクロック数が1.7Gで動作しますので実用上の問題はあまりありません。
(クロックをモニターしてると何故か時々1.7Gを越えて1.86Gで動いてる場合があるのが不思議・・・)
SpeedStepを利用した方がバッテリー、PCにもやさしくパフォーマンスの低下も余り無いのでお勧めです。
これで一通りC4110に関しては改造は終わりかなと思っております。
CPU:PenM1.3G(Banias) → PenM735(Dothan 1.7G)
HDD:4200回転40G → 5400回転60G
メモリ:256M → 1G
光学ドライブ:CD-ROM → DVDスーパーーマルチ
内蔵無線LAN:なし → 11g対応無線LAN搭載
購入時よりかなり快適に使えるようになりました。