レーシングスーツとエアバッグについて その2

以前の記事でレーシングスーツとエアバッグについてを書きかましたが、エアバッグ事情が少し変わりつつあるので「その2」を書くことにしました。

エアバッグ Aplinestars Tech-Air 7Xについてでも記載した通り、線がないワイヤレス方式のエアバッグでもインフレーター(ボンベ)交換が自分でできるようになってきています。
日本でメジャーなダイネーゼ、HYODのエアバッグもインフレーター(ボンベ)を自分自身で交換可能となっています。

少し前までの「展開したらメンテナンスに出す」から「展開したら自分自身で交換」へと流れが完全に変わってきました。

AlpinestarsのTech-Air 7Xもそのうちの1つですが、Tech-Air 7Xはレーシングスーツに組み込むことができ、以前からあるエアバッグTech-Air Raceと組み込み規格に互換があります。

私はTech-Air Raceが組み込めるレーシングスーツを所持していないので、今回新たにTech-Air 7X組み込み対応のレーシングスーツを購入しました。
※Tech-Air Raceが組み込めるレーシングスーツを所持している方はTech-Air 7Xを組み込むことが可能です。

Alpinestars GP Plus V4 Sprint

日本国内では未発売なので海外からの輸入となります。
輸入品なのでMFJのタグはなく、国内のMFJ主催レースには出場できません。

日本国内の正規代理店である岡田商事がTech-Air 7X対応のGP-R7 LEATHER SUITの取り扱いを開始したので、MFJ公認が必要な場合はGP-R7を購入するといいかと思います。
※但し現時点では岡田商事がTech-Air 7Xを取り扱っていないので、Tech-Air 10を使用することになります。Tech-Air 7XはTech-Air Raceに取って代わると思われるので、近いうちに岡田商事でも取り扱いが始まるのではないかと思っています。

今回Tech-Air 7X対応として発売されたGP-R7やGP Plus V4 Sprintは、Tech-Air 7Xをレーシングスーツ内に完全に組み込むことが可能です。
エアバッグ本体をメッシュインナーと革の間に組み込むこで今まで以上に快適にエアバッグ+レーシングスーツを使用することが可能となりました。

Absolute V2とTech-Air 10も同じようにインナーと革の間に組み込むことが可能ですが、組み込む手間は明らかにTech-Air 7Xの方が楽になっています。
レーシングスーツに組み込み後の充電も前からタイプCを挿して充電できるTech-Air 7Xの方が圧倒的に使いやすいです。

海外の動画ですが、Tech-Air 7Xの組み込みが分かりやすく解説されているのでYouTubeのリンクを貼っておきます。

エアバッグ Aplinestars Tech-Air 7Xについて

エアバッグについては過去にも記事を書いてきましたが、今回はTech-Air 7Xを購入したので紹介します。

そもそもワイヤレス方式のエアバッグであるAplinestarsのTech-Air 5とTech-Air 10を所持しているのに追加でTech-Air 7Xを購入した理由から書きます。

ワイヤレス方式のエアバッグは最初にTech-Air 5を購入しましたが、レーシングスーツの下に着るのには色々と駄目な部分も多く、レーシングスーツに組み込んで一体型になるTech-Air 10を追加で購入しました。
その際にTech-Air 10を組み込み可能なAbsolute V2というレーシングスーツも購入しました。
Tech-Air 10はエアバッグがカバーする範囲もTech-Airシリーズの中では一番広く問題なく使用していました。

そんな中、CBR250RRでのSPA直入走行中に転倒しエアバッグが展開しました。
外に着る国内メーカー製のhit-airと違い自身でボンベ交換ができないため、ボンベ交換のためにTech-Air 10をメンテナンスに出すことになりました。
当然ながらメンテナンス中は使えませんしボンベ交換の金額も31,000円掛かります。
※Tech-Air 10はエアバッグの守備範囲が広いのもあり、実は1回の展開で2つのボンベを使用するそうなので、ボンベ1本あたりで考えると31,000円はそこまで高くないのかもしれません。

ボンベ交換のメンテから帰ってくるのを待ってる間もサーキットには行くので、予備のエアバッグが必要になりました。
hit-airやTech-Air 5も所持しているので予備がないわけではありませんが、できれば一体型を使いたい。
また、レーシングスーツも傷と破れが発生したため、お世話になっているレーシングショップのRSGさんへ補修に出すことにしました。
エアバッグだけでなくレーシングスーツも予備があったらいいなと思いネットで色々と見てると、前から気になっていたTech-Air 7Xが海外のサイトで売ってるのを発見しました!
国内では未発売、海外でも品薄・売り切れで今まで購入できなかったのですが、購入できると分かった時点で買わない選択肢はありませんでした(笑)

ナンバリングの通りTech-Air 7XはTech-Air 10よりも価格が安く、エアバッグで守られる範囲も少ない製品です。
しかし、守備範囲が狭いというデメリットを補って余りある魅力がTech-Air 7Xにはあります。

1つ目はTech-Air Raceと同じ2回までのエアバッグ展開が可能なこと。
2つ目は自分自身でボンベの交換ができること。
またTech-Air Race、Tech-Air 7X対応のレーシングスーツであれば接続して一体型にすることができます。
(Tech-Air Race用のLEDディスプレイに有線接続することもできます)

交換用インフレーター(ボンベ)はhit-airのように安くはありませんが、現在の価格で1本あたり13,000円ほどです。
最大4回展開させるとメーカーメンテナンスを推奨ということみたいですが、4回展開させたからといってロックが掛かったりすることはないそうです。
また展開してボンベ交換する際に自分自身でエアバッグに漏れがないかチェックするためのツールも付属します。

注文してから3日で海外から届きました。
早速開封します。

今までのTech-Airシリーズとは違ってリサイクル箱みたいな箱に入ってました。
エコとかもここまで来ると正直げんなりします…

レーシングスーツと接続しない場合は、ベストタイプ同様にスタンドアローンで使用可能です。

背面のカバーを開くとボンベやバッテリーが見えます。

ボンベの交換方法もマニュアルに載っているので初めてでも問題なく交換可能です。
(マニュアルには日本語での記載もあり)

Tech-Air 7Xは国内ではまだ未発売のため、当然ながら専用ボンベも国内では手に入りません。
なのでエアバッグと一緒に専用ボンベも2本注文しました。
予備のボンベを使わないに越したことはないですが…

Tech-Air 7X対応のレーシングスーツも一緒に購入したので、そちらについてはまた後日。

レーシングスーツ用のハンガー

レーシングスーツ(皮ツナギ)をハンガーに掛けていると結構な確率でハンガーが壊れます。
レーシングスーツに最初から付属しているハンガーですら使ってると壊れます。

フックがプラ製だとフックの部分が曲がったり、フックが金属製でもフックの部分だけ根元から取れたり…
普通の洋服と違ってレーシングスーツはかなりの重量があるため、普通のハンガーでは持ちこたえることができません。

ただAlpinestarsのAbsolute V2に付属のハンガーは、流石フラッグシップというべきか、フックの裏がナットで止められているという他ではあまり見ない作りで結構頑丈でした。
まあ高級ツナギをそうそう買えるわけもなく、ハンガー問題で頭を悩ませていました。

このレーシングスーツのハンガー問題を解消すべく頑丈なハンガーを探してみたらところ、
レーシングスーツの国内メーカーであるHYODから専用のハンガーが発売されてました。

HYOD PRO HANGER HRA001N

アルミパイプに金属製のフック。
そしてフックはアルミパイプを貫通して下で抜けないように丸く曲げてある。
専用に作られただけあって流石です。
HYODのHPには以下のように書いてありました。

色は二色展開でオレンジとブラックです。
今回は両方買ってみました。

実際にレーシングスーツを掛けてみましたが、その謳い文句通りかなり頑丈にできています。
1箇所だけ気になった点はフックの開口部分が狭いことです。
太いパイプに掛ける場合はフックを引っ掛けるのにちょっと手間取りました。
もちろんレーシングスーツが重いので掛ける時に力がいるからというのもありますが。

レーシングスーツのハンガーに困っている方にはぜひお勧めしたいハンガーです。

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CBR600RR レースベースのデータロガー ストロークセンサー編

CBR600RR レースベースのデータロガーの続きです。

レースベース車両のハーネスにはユーザーが自由にセンサーを追加できるようにAD入力カプラが用意されています。
AD入力は0~5Vの入力を受け付け、入力されたデータはCANデータとして取り出すことが可能です。

HARC-PROのデータロガーでこのCAN信号を拾ってあげることでオプションセンサーのデータを可視化できます。
オプションセンサーにはサスペンションのストロークセンサーやブレーキの液圧センサーなどがありますが、自分で何らかのセンサーを追加することも可能です。

ちなみにHRC製のストロークセンサーは、1箇所約10万円します…
前後取り付ける場合、取り付けステーまで含めるて25万円くらいになります。
なかなかポンと出せる金額ではないので、自分でストロークセンサーを作ることにしました。

お金を掛けずに気軽に使いたいということで、赤外線を使った距離センサーを使うことにしました。
今回使ったのは「シャープ測距モジュール GP2Y0E02A (アナログ出力)」でモジュール1個が750円(税込)です。

長さが2cmもない小さなモジュールです。
モジュールへの供給電圧は2.7~3.3Vとなっており、AD入力カプラから出ているセンサー用の供給電圧12Vとはマッチしません。
モジュールから出力される信号は最高で2.8Vなので、ADカプラの入力値である0~5Vの範囲に収まるためそのまま使用可能です。
ということで、供給電圧だけ12Vを3.3Vに下げればいいので、電圧を降圧するDCDCレギュレーターを使用します。

使用するのはROHMの三端子DCDCレギュレーター 3.3V BP5293-33です。
価格は1個280円(税込)です。

この2つのパーツを組み合わせて供給電圧12V・0~2.8V出力の距離センサーモジュールの試作品を作ります。

センサーは防水ではないのでホットボンドで固めてます。
ホットボンドだと熱に弱いので、熱を持つものの近くに設置する場合だと熱に強いシーリング材などで防水処理した方がいいと思います。

試作した距離センサーモジュールがシャープのデータシート通りの値を出力するかテスターを使ってテストします。

距離を変えて出力される電圧を計測します。

データシート通りの電圧が出ているので問題なさそうです。
センサーとしては問題なさそうなので前後用に2つセンサーを作成します。

車両側のADコネクタと接続するためのコネクタは住友電装の6181-0072となります。
このコネクタは既に旧式扱いとなっているため、国内では手に入りにくい状態となっています。

自作したセンサーを車両に取り付けていきますが、このセンサーは赤外線を使用しているためセンサーの先に赤外線を反射できるものが必要となります。
今回使用するセンサーの場合、データシートによると反射する物体とセンサー間の距離は4cm~50cmである必要があります。

取り付け場所によって配線の長さも変わってくるため、最初に取り付ける場所のめぼしを付けておく必要があります。

私のCBR600RRの場合だとステム周りの隙間が割と少なく、ラジエーターを止めているボルトにステーを共締めしてフロント用のストロークセンサーを取り付けることにしました。

フロント用のADカプラはフロントのエアダクトのところにあるフロントカプラブーツ内にある白テープが貼られてない方(AD1)のカプラに接続します。

カプラとラジエータのボルトは逆側にあるので、上側に配線をグルっと這わせて反対側に持って行きました。

この時点で実際にロガーの電源を入れてちゃんとCANデータとして取得できるのかを試します。

HRCが出してる資料の「ロガー用CAN メッセージリスト一覧表」を見るとAUXAD1~4のFactor項目に「0.019531」と記載されているので、CANデータで取得した値にFactorの値を掛けることで0~5Vの値を取り出すことができます。

次に「測距モジュール GP2Y0E02A」のデータシートを確認します。
センサーから対象物が50cmの距離の時に0.55V、10cmで2.0V、4cmで2.2Vを出力と書かれています。
この数字だけ見てグラフにすると微妙に直線になりませんが、データシートのグラフ的には直線になっていると思われるため、50cmの時と4cmの時の電圧を使って2点を通る直線の方程式を出します。

xに電圧を入れれば距離のyを導き出せます。
ちなみにこの式はcmではなくmmが出るようにしています。
また、xの電圧の部分は、上に書いたCANデータの数値にFactor値を掛けた値で取り出した数値を入れる必要があります。
尚、この方程式で出せるのはストローク量ではなくセンサーから対象物までの距離(mm)です。

実際にデータロガーで使用する場合は、センサーからの距離ではなくストローク量として出す式にしてあげる必要があります。

車両に取り付けたセンサーを実際に動かしてデータロガー上に数値を出してみると…

実際にノギスで測った距離とロガーに出てる数値が全く合わない(汗)
そして偶に数値が飛んだり計測不可になったり。

半日悩んで色々試した結果、センサーとの距離を測る対象物にしているフロントフェンダーの材質の反射がダメっぽい。
(後日やったリアフェンダーの反射もダメっぽかったけど、そっちは取り付け位置が悪かっただけかもしれない)

なので赤外線をしっかり反射できるように、非光沢な白色のカッティングシートを前後のフェンダーのセンサーがあたる部分に貼り付けました。

本当はセンサーがあたる部分だけでいいので、もっと小さい面積で構わないのですが、位置決めとか面倒だったので大きく切って貼り付けました。
これで試したら方程式を使ってロガーから出た距離と実測値が一致するようになって問題解決!

リア用のカプラー情報も書いておきます。
リア用のストロークセンサーはリアカプラブーツ内の灰色のカプラで白テープが貼られてないAD3のカプラに接続します。

ストロークセンサーはそこから下へとそのまま配線を這わせ、ステーを間に入れてリアの上部フェンダーにネジ止めしました。

この辺りはマフラーの熱を結構受けるため、夏だとホットボンドはちょっと危ない気がします。

後ろのセンサーはインナーフェンダーを対象物としました。
CBR600RRの場合、リアサスのストロークはプロリンクを介しているのでかなり少ないはずですが、このセンサーではセンサーとフェンダー間の距離を測るため、実際のサスのストローク量よりも結構多くなると思います。
細かくやりたい人は、実際に計測して係数を調べることで近い値が取れると思いますが、私は面倒なのでそこまでやりません。
あくまでもセンサーと対象物との距離をストローク量としてデータ上で見ます。

もちろんリアのインナーフェンダーにも白のカッティングシートを貼りました。

データロガーソフトの計算式をストローク量が取れるように変更し、
前後共に実測値と同じストローク量がロガーで取れるようになったため、自作ストロークセンサーは無事に運用に漕ぎつけることができました。

ただ、赤外線センサーの性質上、雨の日は水滴が邪魔をして正しい値が取れない可能性が高いと思われます。
正確にストローク量を測りたい場合は、やはりHRC製のストロークセンサーを使用するのが間違いないと思います。

まあ、2千円くらいで1センサー作成できると思えば、性能的には十分ではないでしょうか。

CBR600RR レースベースのデータロガー

レースベース車両のデータロガーについて書かれているサイトがあまりないので、市販車には関係のない内容ではありますが書いてみることにしました。

全日本 ST600クラスに出場している日本郵便HondaDreamの小山知良選手が全日本で走っている時の走行データが約2年ほど前にYouTubeで公開されました。
(小山選手は21年式CBR600RRの開発ライダーでもあります)

この走行時のデータは自分のマシンでも同じように取得することができます。
もちろん市販車のCBR600RRでは難しく、レースベース車両での話となります。

2BL-PC40以降(ウイングレット付きの車両)では、車両の情報をハーネスにあるコネクタからCANデータで取得することができます。
そのCANデータやオプションのセンサーで集めたデータを記録するデータロガーがHARC-PROから発売されています。

オプションでLAFセンサーやサスペンションのストロークセンサー、ブレーキ液圧センサーなどを取り付ければ、YouTubeに公開されたデータとほぼ同等のものを取得することができます。

特にLAFセンサーは空燃比を取得する上で重要となるため、データロガーとセットで取り付けられることが多いようです。
ストロークセンサーや液圧センサーは結構高価なので、私は今回LAFセンサーのみオプションで取り付けました。

GPSアンテナユニットはデータロガーに標準で付属しています。
GPSで各サーキットのスタートライオンの位置を特定し、スタートライン通過時に純正メーターへラップ信号を送ることで、純正メータのラップタイマーを自動で動作させることができます。

レースベース車両はHRCが無料配布しているデータセッティングツールを使用することで燃料調整を行うこともできるため、データロガーに取り付けたLAFセンサーで空燃比を知ることができれば、自分自身でECUのチューニングが可能となります。

燃料調整だけでなく、トラクションコントロールの効き方や効き始めるスリップ量などを各ギアごとに細かく設定できます。
エンジンブレーキも同様にギアごとに細かく設定が可能です。

市販車では数字で10段階中何段階目という設定ですが、レースベース車両では非常に細かく設定することができ、自分の走り方や走るサーキットに合わせたセッティングを行うことが可能となっています。

データロガーを購入したHARC-PROでは、データロガー以外にもレースベース用のパーツが色々と売られてるので、ヘッドライトステッカーやHRCラジエータ用のラジエーターコアガード、2024年からST600で義務化されたセーフティーライト、シートカウルサポート(シートカウルがバタつかないようにするためのもの)も購入して取り付けました。

ヘッドライトはステッカーなので近くで見ると明らかに偽物なのが分かりますが、遠目に見ればなんとなく雰囲気は出てると思います(笑)

FRP製のシートカウルは前方部のネジ3本で止まってるため、そのままだと後ろの方は結構グラグラします。
シートカウル後部をグラグラしないように抑えるのがシートカウルサポートです。

シートカウルサポートといってもステーにスポンジが付いていて、カウルを下から支えるだけの構造なので自作も可能です。
(ちなみにステーとスポンジを固定する両面テープは同梱されていないので自分で用意する必要がありました)
HARC-PROのシートカウルサポートは高額でもありませんし、作る手間を考えたら購入した方がいいという判断になりました。

HARC-PROのセーフティーライトは車両ハーネスにカプラーオンで取り付け可能なので手軽に追加できます。

これで後方からの視認性向上とシートカウルのバタつき防止が完了しました。

各HRCサービスショップが販売するCBR600RRレースベースのST600用コンプリート車両は、市販車をホンダドリームで購入する金額+ちょっとくらいで購入できますので、本格的にサーキット走行をしようと考えている人にはリーズナブルなのでお勧めです。

レースベース車両はホンダドリーム(一部の購入可能な店舗があります)では購入できませんので、全国のレーシングショップやHRCサービスショップへ問い合わせてみてください。

CBR250RR(MC51)のレインタイヤ

サーキットを走る時に使用しているプロダクションタイヤ(ハイグリップタイヤ)は、タイヤウォーマーで温めて使用する前提で作られています。
溝はあるものの雨の事は基本的に考えられていません。
雨の日にプロダクションタイヤで走るのはリスクが大きく、サーキットに行って雨が降った時は基本走らないという選択肢を取っていました。

せっかくサーキットまで足を運んだのに何もせずに帰るのはもったいない!
ということでレインタイヤを用意することにしました。
CBR250RR用のレインタイヤとしてダンロップの KR189(フロント)と KR389(リア)を購入することに。
ただ新品は高い、凄く高い!
なので某オークションにて「ドリームカップの決勝のみ使用」で製造年が新しめの中古を購入しました。
(練習用には十分だと思います)

ホイールも中古を探していましたが、なかなかいいものにタイミングよく出会えず、安く売りに出ていたインドネシア仕様のホンダ純正ホイールの新品を購入しました。

MC51のホイールはABS用とそうでないものがあり、下の写真の赤丸の部分のようにパルサーリング用のネジ穴があるのがABS用です。
近年はバイクも電子化が進んでおり、レース車両のようにABSがないものでもタイヤの回転数を検知するためにパルサーリングがあります。
MC51も2024モデルはトラコンが付いたので、仮にABSがなくてもパルサーリングは必要となるはずです。

インドネシア仕様のホイールなのでJWLマークはありませんが、ホンダ純正ですし、サーキットでしか使用しないので問題なしです。

エアーバルブをゴム製からアルミ製に交換します。
ストレートタイプではなくL型にすることで空気を入れるのが凄く楽になります。

ゲイルスピードのΦ11.5(純正ホイール対応)のエアバルブを購入。
ホイールの色に合わせてゴールドにしましたが、色合いは結構違うので黒やシルバーでもよかったかな(笑)

ホールとレインタイヤを購入したので、タイヤをホイールへ組み込まなければならないのですが、若いころ力任せにタイヤ交換をしてアルミホイールを曲げたことがあり、その時から手組によるホイール交換はやらなくなりました。
タイヤチェンジャーがあれば自分でタイヤ交換をやるのですが、自宅にタイヤチェンジャーを置くスペースもないため、自分でタイヤ交換をしなくなってからはバイク屋さんや用品店でタイヤ交換をお願いしていました。

タイヤを購入したお店でのタイヤ交換ではなく、他のところで購入したタイヤをバイク屋さんや用品店に持ち込んでタイヤ交換をお願いすると、持ち込み工賃として通常のタイヤ交換の倍くらいの金額を取られることが多いです。
ネットでタイヤを買えばタイヤは安いが工賃は高い。
バイク屋さんで両方お願いすれば工賃は安いけどタイヤが高い。
結局のところ、自分でタイヤ交換をしない限りはトータルで安く済ませることは難しいです。

2~3年に1回しかタイヤ交換しないのであればそれでも問題ないのですが、私のように年に5セットとかタイヤ交換すると工賃だけでも馬鹿になりません…

今回は中古タイヤなので持ち込み工賃を取られますし、そもそも年間通すと結構な数のタイヤ交換を行うため、今回から久しぶりに自分で手組でタイヤを装着することにしました。
手組でタイヤ交換ををするには、揃えなければならない道具がいくつかあります。

絶対に必要なのがビードブレーカーとタイヤレバー、ビードワックスでしょうか。

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ホイールへの傷を気にしなければ、揃える道具はこれだけでもタイヤ交換は可能です。
ホイールへの傷を気にするのであれば、他にも揃えなければならない道具があります。
私はできるだけホイールに傷を付けたくないので、傷を付けないための道具も購入しました。

まずはホールの下に敷く木枠です。
単なる木枠なので自分で作る人が多いですが、木材を買いに行って作るのも面倒だったのでJTripが出している木枠を購入しました(笑)
JTripのステッカーが貼られているものの、単なる木枠なので自分で作れる人は自分で作りましょう!

他にもホイールに傷を付けないために、リムプロテクターが必要となります。

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タイヤ交換のための道具が揃ったのでタイヤ交換を行います。
ただ、冬はタイヤが固くなっているためタイヤ交換の難易度が上がるので、タイヤ交換を楽にするためにタイヤウォーマーでタイヤを温めてからタイヤ交換を行いました。

タイヤを組み込んだ後でタイヤとホイールのローテーション(回転方向の矢印)が合ってないとやり直しとなるため、組み込む前にローテーションが合ってるかを十分に確認します。
私が購入した純正ホイールにはローテーションの矢印がなかったので、間違えないようにペンで矢印を書いておきました。

ホイールとタイヤの回転方向が合っているか確認して組み込み開始。
(今回は新品ホイールなのでタイヤの取り外しがありません)

ホイールのくぼみ部分にタイヤのビード部分を入れないとタイヤレバーを使っても固くてタイヤが嵌らないので、しっかりホイールのくぼみ部分にタイヤを入れてからタイヤレバーを使ってビードをはめていきます。
膝を使ってビード部分がくぼみから出てこないようにすることが多いですが、タイヤレバーに気を取られているとビード部分が上がってくるため、膝ではなく「メタルバークランプ」を使ってタイヤをくぼみに保持する方法を試してみました。
メタルバークランプを使っても完全に膝を使わずにできるわけではありませんが、ないよりはあった方がずいぶん楽にビード部分を保持出来ました。

ビード部分をホイールのくぼみ部分にしっかりと保持できていれば、フロント、リア共に特に硬いということもなくタイヤをセットすることができました。

ホイールにタイヤを取り付けたらエアーコンプレッサーで空気を入れてビードを上げます。
ビードが上がる時の「パンッ」って音は何度聞いてもビクッとします(笑)
コンプレッサーを持ってない人は、ガソリンスタンドなどで借りる必要があると思います。
コンプレッサーはタイヤ交換の際の必須アイテムに近いので、持っていることを前提で記事を書いてます。

フロントは虫ゴム外してエアダスターで直接噴射しないとビードが上がらなかったのですが、リアは虫ゴム付けたままで上がりました。

ディスクローターはサンスターのプレミアムレーシングに交換した際に取り外した純正を持っていたので、取っておいた純正ディスクローターを使用。
パルサーリングは予備を持っていなかったので、ディスクローターのボルト類と一緒に純正部品を注文。

ホイールにディスクローターとパルサーリングまで取り付けたので、ドライタイヤと交換する際は、左右のカラーとスプロケットをハブごと取り外してレイン用のホイールに移動させればサクッとドライからレインへ交換が可能となりました。

最後にホイールバランスを取って作業終了です。
サーキット走行のみならホイールバランス要らないよ派も結構いるようですが、MotoGPでもホイールバランスを取ったりしてるみたいですし、全く意味がないこともないだろうという思いからバランス取りを行ってます。

ベアリングとシャフトのみのホイールバランサーが安く売ってたので、それを購入してメンテナンススタンド上にベアリング部分を載せて使用しました。

しっかりと場所決めをしてベアリング部分を置かないと、ホイールごとシャフトが落ちてしまうので注意が必要です。
本来であればもっと安定したものの上に載せてやるべきだと思いますが、気を付けてそっとやればメンテナンススタンド上でも大丈夫でした。

バランスを取るにはバランスウェイトも必要なので、今後も考えてストレートから出てるバイク用のウェイトを2セットほど購入しておきました。

タイヤバランサーでホイールバランスを取り終えたら全て作業終了です。
タイヤ交換の道具を色々と買い揃えましたが、それでもタイヤ交換を2回お店にお願いするくらいの金額で全て揃います(エアコンプレッサーを除く)

タイヤの価格がどんどん高騰しているので、タイヤをできるだけ安く手に入れて、交換は自分で手組でやるというスタイルがトータルで一番安くすみます。
多少面倒ではありますが、慣れればそんなに難しい作業でもないので、タイヤ交換代に苦労している方は手組を検討してみてはいかがでしょうか。

最後にタイヤの劣化を防ぐためにストレッチフィルム(ラップでも可)を巻いてタイヤ保護カバー「まもる君」で保護して使用するまで保管します。
タイヤは紫外線に弱いので、とにかく日なたを避けて暗所保管を!

主にPC、車・バイク、トイガンなどについて書いてます