「モバイルPC」カテゴリーアーカイブ

GPD Pocketの熱対策(ファンの静穏化)

GPD Pocketは小型故の弱点があります。
冷却のためのファンも必然的に小さくなってしまうため、ファンが回転すると風切り音が結構してしまいます。
Atomという省電力なCPUを採用しているのでファンはあまり回らないのかと思っていましたが、何も操作しない時以外はほとんど回っています。

これが気になって熱対策をしている人は結構いるようです。
対策で多いのは「CPUグリスの塗り替え」と「熱伝導シートを貼る」の2通りのようです。

私はデスクトップのCPUを殻割するくらいなので、CPUグリスは自宅にありますが、グリスの塗り直しでは効果が薄いという人が多いようです。
(CPUグリスの常識である薄塗りをすると、逆に悪化したという報告例もあるようです)

そこで最初からグリスの塗り替えは行わずに熱伝導シートだけで対策することにしました。
使うのはとても評判がいいThermal Grizzly社製の高性能サーマルパッドになります。
(殻割する人にはクマメタル化などでお馴染みのメーカーです)

Thermal Grizzly minusPad8 オーバークロッカー向け高性能サーマルパッド TG-M8-120-20-20-1R

今回はアルミ筐体へ熱を逃がすべく、厚さが2mmのものを使用しました。

裏ブタのネジを6本外せば裏ブタが外せます。
(液晶ヒンジ側の真ん中の1本だけネジの長さが長いので、取り付ける際には注意が必要です)

メモリと元々サーマルパッドが貼ってあるチップ周りを中心に、結構適当に貼っていきました。
(元々貼ってあったものは剥がしてから貼りました)
バッテリーは大して熱くならないので無視で構わないと思います。

作業を終えて実際に動かしてみると多少はマシになった気はしますが、やはりファンは結構回ります。
まあ裏ブタを触るとそこそこ温かくなっているので、効果がないわけではないと思います。

次にやったのは、直接ファンを制御しているサービスが見ているレジストリの値を変更することです。
そもそもファンが回り始める温度が低すぎでは?という疑問が湧きました。

GPD Pocketのドライバ集GPD pocket drivers(20170509)の中にあるFandevice/wfan0109.regが制御する温度をレジストリに登録するファイルです。
中身を見てみると
“t0″=dword:00000028
“t1″=dword:0000003c
“t2″=dword:0000004b

となっており40℃でファンが回り始めるのが読み取れます。
(設定は16進数で書かれており、16進数の28は10進数では40になります)
40℃、60℃、75℃でファンの回転数を変えるようです。

今回はファンが回らなくてもアルミ筐体である程度熱を逃がせるように対策もしたことですし、40℃の部分を少し引き上げようと思います。
“t0″=dword:0000002d ← 45℃にする場合

ぶっちゃけ50℃でも問題ない気はしますが、取り合えずは45℃で様子見をすることにしました。

値を書き換えて保存したらファイルをダブルクリックして実行すれば、レジストリの値が書き換わります。
レジストリの値を書き換えた後は、Windowsを再起動すれば設定した値が反映された状態でサービスが動き始めます。

この辺の数℃は、ファンが回転するかしないかに結構影響するようで、ファンの回転が結構少なくなりました。
(もちろん負荷が掛かれば、今までと変わりなくガンガン回りますが…)

GPD PocketにUSBメモリを刺してストレージの容量アップ

GPD PocketのストレージはeMMCというSSDよりも遅いフラッシュメモリが採用されています。
容量は128GBで色んなソフトを入れなければ問題ない容量ですが、私の使い方だと空きが既に3分の1くらいになっています。
(VMなどを使うと容量はあっという間になくなります)
そこでUSBメモリをDドライブとして増設することにしました。

出来るだけ小型で高速なものを探してみましたが、小型だと超高速なものはないようです。
大きくてよければ一昔前のSSDに迫る転送速度(最大読み出し速度420MB/秒、最大書き込み速度380MB/秒)のサンディスク エクストリーム プロというのがありますが、流石にGPD Pocketにこれを刺したまま使うのは無理なので速度面は諦めることにしました。

但し小型でも出来るだけ早い転送速度を持つ製品を選びました。
SanDiskのサイトで高性能伝送で検索すると出てくる小型の製品は、2019/01現在で1製品だけです。

サンディスク ウルトラ フィット USB 3.1 フラッシュドライブ
SDCZ430-128G

サンディスクのサイトでは読取り速度:最大130MB/秒と書かれている製品です。
NTFSでフォーマットしてCrystalDiskMark6.0.2で計測してみました。

サンディスク SDCZ430-128G

シーケンシャルはそこそこ高速ですが、4Kのランダムアクセスだとやはり遅いです。
とはいえ、小型のものでは高速な部類です。
※BitLocker設定後に再計測したらシーケンシャルのReadが120MB/s出たので、最大値の130MB/sに近い速度が出ると思われます。

GPD Pocket内蔵のeMMCの速度も計ってみました。

GPD Pocket内蔵のeMMC

シーケンシャルはSDCZ430-128Gよりも若干早いくらいですが、ランダムアクセスはSDCZ430-128Gよりも断然早いです。

実際にSDCZ430-128Gを使った感じでは、内蔵のeMMCよりも体感で分かるくらいには遅いですが、元々GPD Pocketは速度を求めていないので、個人的には許容できる範囲の遅さではあります。
速度が必要なものは内蔵のドライブに置いて、速度を必要としないものはUSBメモリに置くなど工夫をすれば十分実用的だと思います。

1点だけ注意が必要なのは、USBメモリなので抜かれてしまうと他のPCでも簡単に読めてしまうということです。
大事なファイルを置く可能性があるのであれば、セキュリティを考えて暗号化はしておくべきだと思います。
私はWindows標準の機能であるBitLockerを使って暗号化を掛けました。
速度は若干落ちてしまいますが、体感では違いは分かりません。
※BitLockerはWindows10 Proでないと有効にできません。
私のGPD PocketはWindows10 HomeからWinmdows10 Proへアップグレードしています。
Windows10 HomeでBitLockerを使用する場合は、Proの端末で一旦USBメモリのBitLockerを有効にしてからGPD Pocketに刺してください。

BitLocker設定後のベンチ結果

シーケンスのReadの値はむしろ速くなっていますが、最初に計測した100.6MB/sがSanDisk公表の最大130MB/秒よりも大分遅いので、実際はBitLocker有効前でも120MB/sくらいは出ていたのではないかと思います。

GPD Pocketに刺すとこれくらい出っ張りますが、普段使いでは気にならない大きさです。

サンワサプライのタブレットスリップインケース(6~7型用)PDA-TABS7であれば、片側がオープンになっている構造なので、USBメモリを刺したまま収納可能で非常に便利です。

GPD Pocketのケース タブレットスリップインケース(6~7型用)PDA-TABS7

GPD Pocketには純正のケースがありますが、USBメモリを刺したままで使う前提でケースを選んでみました。

サンワサプライのタブレットスリップインケース(6~7型用)PDA-TABS7が、安くて使いやすいという情報を見つけたので実際に購入してみました。

サンワサプライ タブレットスリップインケース(6~7型用)PDA-TABS7

サイズ的にはGPD Pocketよりも一回り大きいです。

実際に入れてみると専用品かと思うくらい丁度いいです。

出し入れしてもきつくなく、緩くもなく。

完全に閉じるタイプではなく端がオープンになっているので、USBメモリを刺したままでも問題なく収納可能です。
非常にお勧めです。

SANWA SUPPLY
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GPD Pocketを購入

付属品完備の美品が中古で安く売られていたので買ってみました。
1年半ほど前(2017年6月)に発売されたGPD Pocketですが、既にGPD Pocket2という後継機種が発売されているため、中古価格は2万円を切ってました。
7インチという小型のPCなのでノートと違っていつでもどこでも持ち運び可能です。

CPUはIntel Atom® x7-Z8750なので4コア/4スレッドとはいえ速くはありません。
メモリは8G積んでいるので小型モバイルとしては十分です。
但しメモリにLPDDR3-1600を積んでいるにも関わらず1066MHzで動いています。
標準のUEFIではメモリのクロックを変更できないので、Ubuntu用のUEFI(BIOS)であるPocket BIOS for Ubuntu 20170628に書き換えてメモリを1600MHzで駆動させています。

ドライバやBIOS(UEFI)は以下のページからダウンロード可能です。
GPD Download Center

悪い点を挙げるならキーボードです。
配列が特殊なのはキー配列の変更と慣れでどうにかなりますが、キーのストロークがかなり深いのは使ってて嫌になるほどです。
深いだけならいいけど、押す場所によっては押したのを認識しなかったり、強く押すと二重押しになったりします。
それ以外は個人的にはそんなに問題を感じませんが、キーボードはこの端末の相当なウィークポイントだと思います。

Spectre13+Razer Core XでeGPUのベンチマークを取ってみた(その3)

Spectre13+Razer Core XでeGPUのベンチマークを取ってみた(その2)からの続きです。

通常の構成はSpectre13とRazer Core Xの接続をThunderbolt 20Gb/sへと速度を落とし、Razer Core Xに積んだグラフィックボードとモニターをDisplayPortで接続しています。
ノートとeGPUの接続帯域が半分になるので、ベンチマークの結果が結構下がるのではないかと予想しました。

尚、ここから先は時間の都合上、MSI GTX-1070 GamingX 8GでFF14のベンチマークのみ計測しました。

MSI GTX-1070 GamingX 8G

全く同じどころか誤差程度ですがスコアが上がりました…
Thunderboltのパッシブケーブルで40Gb/sの通信速度を実現できるのは、規格上ではケーブルの長さが50cmまでとなっており、使用できるThunderboltケーブルが凄く短いのが欠点です。
(ノートPCとeGPUケースをすぐ近くに置かないと届かない距離です)
ベンチマークのスコアから見るにThunderboltのケーブルは40Gb/sに拘らなくてもいいのかもしれません。
規格上パッシブモードで2mまで許されている20Gb/sを使うと、eGPUケースを離れた場所に置けるため取り回しが凄く楽になります。
Thunderboltについては、以下のサイトが分かりやすく説明しています。
完全解説!『USB Type-C』と『Thunderbolt 3』の違いとは?

次はSpectre13とRazer Core Xの接続をThunderbolt 20Gb/sに落とした状態で、モニター自身もSpectre13を利用します。

MSI GTX-1070 GamingX 8G

9%ほどスコアが落ちましたが、これならなんとか実用範囲ではないでしょうか。
その2で行った「Thunderbolt 40Gb/s接続でSpectre13自身のモニタ利用」のスコア(11076)との差は誤差程度なので、何回か測れば40Gb/sと20Gb/sで同じ結果になるのかもしれません。

最後となりますが、私自身も出来るかどうか分からなかった接続方法を試してみました。
Spectre13とRazer Core XをThunderboltで接続しeGPUの力を借りつつ、グラフィックボード接続のモニターやpectre13自身のモニターは使用せず、Spectre13にThunderboltで接続したモバイルモニターでベンチマークを実行できるのか?
文章だけでは分かり辛いので構成図を見てください。

Spectre13を間に挟んでeGPUと外部モニターが接続されるイメージです。
こういう接続例がないかネットを探してみましたが、なかなか見つけることができなかったので試してみました。
※RTXシリーズに搭載されたType-Cの出力端子を使えば、DisplayPortなどと同じように普通に外部モニタに表示できるのは自身の環境で確認済みでした

DisplayPortを利用した通常の接続よりも5%程度スコアが低下しましたが、何の問題もなくしっかりと表示されました。
こんな接続でも外部GPUと外部モニターが繋がるとはThunderboltの規格って凄いです。

eGPUを考えている方に何かの参考になれば幸いです。

Spectre13+Razer Core XでeGPUのベンチマークを取ってみた(その2)

Spectre13+Razer Core XでeGPUのベンチマークを取ってみた(その1)の続きです。

まずは前回でも一部載せた通常の接続のFF14ベンチマークにF15のベンチマークを追加したものから。

構成は下の図の通りでSpectre13とRazer Core XをThunderbolt 40Gb/sで接続し、Razer Core Xに積んだグラフィックボードとモニターをDisplayPortで接続しています。

Palit GTX-1060

MSI GTX-1070 GamingX 8G

GIGABYTE RTX-2070 WINDFORCE 8G

FF14ならGTX-1060でも十分実用的ですが、FF15になるとGTX-1070でも少しきつくなってきます。
実際に画面を見てるとカクつく場面も多数ありました。
RTX 2070でも稀にカクつく時があったので、完全にヌルヌル動かすにはRTX 2080RTX 2080tiが必要なのかもしれません。

次は外部モニタを使わずSpectre13とRazer Core XをThunderbolt 40Gb/sで接続し、外部モニタではなくSpectre13自身のモニターを利用します。

映像の通信もThunderboltのAlternative Modeを通して行われます。
同じ1本の通信ケーブルに対して通信量が増えるので、ベンチマークのスコアの低下が予想されます。
時間の都合上、MSI GTX-1070 GamingX 8Gでのみ計測しました。

MSI GTX-1070 GamingX 8G

通常の接続に比べて5%~7%程度の低下となっています。
これくらいであれば十分実用範囲かと思います。

長くなってきたのでSpectre13+Razer Core XでeGPUのベンチマークを取ってみた(その3)に続きます。

2018/12/10 追記
RTX 2070のFullHDでのスコアがあまりにも悪かったので、4K(3840×2160)でのベンチマークを取ってみました。

4Kだと他の2070と同じくらいのスコアがでました。
FullHDでスコアが伸びないのはCPUが足を引っ張っているのでしょうか…

2018/12/11 追記
デスクトップでのFF15ベンチマークのFullHDのスコアがあまりにも低いので、ドライバの再インストールと、FF15ベンチマークのアンインストール&再インストールを行いました。
FF15ベンチマークを再インストールする際に元々SSHD(最近あまり聞きませんがHDDにキャッシュ用のSSDをプラスしたもの)のDドライブから、SSDのCドライブ変えてインストールしてみました。
どちらが効いたのか分かりませんが、デスクトップで普通のRTX 2070くらいのスコアが出るようになりました。

2018/12/12 追記
デスクトップでクロックアップして計測してみました。
CORE+150、MEM+100での計測

CORE+250、MEM+150でも計測してみましたが、グラフィックボードの温度が上昇するとGPU Boostで上がっていたクロックが自動的に下げられます。
RTXではGPU Boost4.0となっており、GTXのGPU Boost3.0よりもその制御が上手くできていて、制御の仕組みも公開されているようです。
そしてGPU Boostの一部のパラメーターはユーザーがツールを利用して変更も可能となったようです。
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
レイトレ&AI対応の新世代GPUは「世界最速」以上の価値を提供できるか
今回はその辺は一切変更していないためクロックダウンされてしまったのか、スコアは全く上がりませんでした。

最後にDLSSをONにしてその他の項目は最高品質で計測してみました。
(DLSSは4Kでしかテストできないため、4K解像度でテストしています)

確かに若干スコアは上がりましたが、前評判ほどではない気がします。

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