QNAP TS-673にはGPUが搭載されていません。
NASの基本機能としてはGPUは必要ありませんが、同じQNAPでもTVSシリーズはCPUに統合されたGPUを持っており、画面への出力やトランスコード支援機能などを標準で備えています。
では、GPU機能を持たないTS-x73シリーズで同じことが実現できないのかというと、GPUを追加することで実現ができます。
TS-x73シリーズは空きPCIeスロットを2つ持っており、そこにGPUを刺せば普通のPCと同じようにGPUを追加可能です。
追加する際には少しだけ注意が必要です。
まず4ベイのTS-473では筐体サイズの関係でPCIeスロットがロープロファイルのみ対応となっています。
(トランスコード支援が可能なロープロファイルで1スロットのGPUは存在するのか??)
6ベイのTS-673、8ベイのTS-873はフルサイズのカードが刺さりますので問題なしです。
そして3機種共通ですが2スロット占有タイプのGPUを刺すと、PCIeスロットを2つ塞いでしまうので他のカードが刺せなくなります。
私は10Gネットワーク用にMellanox ConnectX®-3 Pro(MCX312B-XCCT)を使用していますので、必然的に1スロットのGPUを探すことになりました。
最初に候補に上がったのがGT 1030(GTXではなくGTなのです)でしたが、GT 1030だとトランスコード支援機能に対応してないようです。
QNAPの対応機器一覧でGT 1030にはHD Station / Linux Station / Container StationしかなくHardware Transcodingの文字がありません。
次に候補に上がったのがELSA GTX 1650でしたが、現時点ではQNAPのNVIDIA GPU Driverが正式対応していません。
※バージョン的には現在のQNAPのバージョン3.0.5がNVIDIA driver version 418.56を含む形なので、次のバージョンがリリースされれば、GTX 1650をサポートしている418.74以降を含む可能性が高いと思われます。
そして少ない1スロットGPUで、且つトランスコードが可能なものを探したところELSA GTX 1050 Tiが候補に上がりました。
しかし既に販売終了品なので程度の良い中古を購入することにしました。
GTX 1650が正式サポートされれば新品を買えるんですけどね。
ELSA GeForce GTX 1050 Ti 4GB SP
貴重な1スロットタイプのGPUです。
下の写真の赤枠の部分ですが、材質はなんとプラスチック製です。
最初に写真を見た時は金属で放熱してくれるのだろうと思っていましたが、全く放熱には関係しません。
ただのダミーで見た目だけです!
そしてTS-673のPCIeスロットに刺す際に、どちらのカードを上にしようかちょっと悩みました。
Mellanox ConnectX®-3 Proはファンを搭載しておらず、ヒートシンクのみで冷やすタイプです。
ですので、GPUの上に置くとカード間のスペースが殆どない状態で空気の対流が少なく、更にGPUの背面の熱が直接来るので、冷えないどころかどんどん温度上昇しそうな気が。
逆にGPUを上にしてもMellanox ConnectX®-3 Proはロープロファイルサイズなので、GPUのファンを遮るのはほんのちょっとです。
ということで、Mellanox ConnectX®-3 Proを下側に、ELSA GeForce GTX 1050 Ti 4GB SPを上側に刺すことにしました。
カード間のクリアランスは下の写真の通りほんの少ししか開いてません。
TS-673の電源コネクタ部分との干渉もギリギリでした。
端が少し斜めに作られてなかったら干渉していたと思われます。
(この部分はプラ製なので最悪切ればいいだけですが)
QNAPのNVidiaドライバを入れて、ハードウェア項目でトランスコードを行えるように設定してあげれば、しっかりとトランスコードでGPUが使用されるのを確認しました。
尚、GPUとモニターを接続していれば、起動時には起動画面が、起動後はコンソール画面がモニターに表示されます。
マウスやキーボードを繋げば、普通のLinux機のようにコンソールにログインして使用することも可能です。